トビウオの飛行

ご近所にいい魚屋さんがあって、生ガキとかも扱っていたりするんだけれど、今日はトビウオのこと。

塩焼きも美味しいが、家の子らも大好きで、よく買う魚だ。
さばくときに立派な胸ビレ、というか、翼というか。体長の7割くらいの長さがある。
トビウオのヒレは飛行に特化しているから、水中では役に立たないに違いなく、水中での機動性はイワシやサンマに比べて劣っているはずだ。にもかかわらず、トビウオのヒレが進化したのは、空中への脱出という手段が、水中での機動性を犠牲にする価値のある逃走手段だったということだろう。

ダイビングスポットへと向かうボートの船上から、トビウオの飛行を見たことかある。航続距離にして100メートルほどと言われているが、確かに、それくらいは飛んでいただろう。

トビウオの飛行を見ていて気付いた。結構な急角度で旋回するのだ。
トビウオの落下地点を予想して水面下で待っている肉食魚がいるとも思えないから、旋回性能に生存のための意味があるとも思えない。

急角度に軌跡を変えるトビウオは、空中という安全圏にいて、飛行そのものを楽しんでいるように見える。それは、水の中では、決して味わうことのできない感覚に違いない。


重力に縛られていては、決して味わえない感覚があるに違いない。スペースシャトルに乗り込む宇宙飛行士のニュースを見ると、いつも、そんな事を思うのだ。