「エクリプス・フェイズ」出ています!

「エクリプス・フェイズ」が出ています。

エクリプス・フェイズ (Role&Roll RPG)

エクリプス・フェイズ (Role&Roll RPG)

テーブルトークRPGのルールブックと言うだけでは言い足りない感じの豪華本です。大判フルカラー400ページというボリュームに加えて、イラストも100点は下らないと思います。
PrologueWaveで小説を書かせて頂いてますが、本になったのを見ると、世界設定の豊穣さに改めて驚かされます。
そう言えば、PrologueWaveでザイオンシリーズを書いていた時も、設定とのズレを多々指摘されたことを思い出します。
SFにとって設定は場合によっては大ネタを仕込む伏線ともなるものであり(「樹環惑星」なんていう例もありますが)、頭を使わなければいけない部分である一方で、一番、楽しい部分です。この楽しい部分で、こんな本ができてしまうとは。
もっともゲームとしてのバランスを良くするために、細かな作り込みが必要で、設定に上手く収まるストーリーを作るのと同じくらい大変な作業があるのかも知れません。
関係者の皆様、ご苦労様でした。

ちなみに、本書の105ページにPrologueWaveのEP小説が紹介されています。
火星に向かったザイオンたちがどうなったのか...、改めて設定を読み込み中でした。

第36回日本SF大賞贈賞式に参加していました。

すでに発表されているとおり、第36回日本SF大賞・功績賞は、
 ・大賞
  『コロンビア・ゼロ 新・』 谷甲州さん(早川書房
  『突変』 森岡浩之さん(徳間書店
 ・特別賞
  『月世界小説』 牧野修さん(早川書房
 ・功績賞
   生褚範義さんでした。

選評や、SF作家クラブ藤井会長の挨拶にもあったのですが、今回は、伊藤計劃さんの「ハーモニー」以降顕著だった、比較的若手に送られてきたという傾向からすると、ベテランの逆襲という感じでしょうか。ただ、賞自体の性格は、優れたSF作品を表彰するものなので、賞自体にとっては良かったように思います。
個人的には、本格宇宙SFである谷甲州さんの受賞は嬉しいですし、森岡さんの徳間書店からの受賞も良いことだったと思います。
ところで、今回、贈賞式にいて感じたのは生褚範義さんの存在の大きさでした。何枚かのスライドを会場で流していたのですが(当方がお手伝いしました)、皆さんがその絵を見て、生褚さんの業績を再確認されていたように思います。牧さんからの選考委員会報告でも、どの作品のイラストが好きだったというように、選考委員がファンに戻ってしまったという報告もありました。
権利関係などもあり、会場で投影できたのは、SFアドベンチャー幻魔大戦復活の日だけですが、スライド準備のため、ゴジラスターウォーズウルフガイシリーズ、ハイペリオンシリーズなど、多くの生褚作品を見直し、改めて大きなものを失ってしまったのだという気がします。
ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)ハイペリオン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

2016年、明けましておめでとうございます。

新年、明けましておめでとうございます。

2015年はあっという間に過去になり、2016年が始まりました。今年は三が日と週末が重なってしまったので、明日からは平常営業が始まってしまいます。何となく休み足りない気分ではありますが、新たな気分で、再起動したいと思っています。

2015年の作家業を振り返ると、小学館電子書籍で「こちら公園管理係シリーズ」が完結しましたし、PrologueWaveでも「骸の船」、「羊たちの空」と言った作品を発表しており、それなりに実績にはなってきているとは思いますが、商業誌掲載や紙の書籍では引き続き苦労しています。
2016年は、電子書籍の新シリーズや、エクリプスフェイズ企画の新作も書きたいと思っていますが、やはり、そろそろ長編を形にしたいと思っています。どのような形で発表できるかわかりませんが、何とか結果を出したいと思っています。

また、作家クラブの関係では、毎度のように場外乱闘が勃発し、困ったものだとはおもっていますが、会長も藤井大洋さんに代わり、いい方向に向かいつつあるように思います。

毎度ですが、2016年のSFを盛り上げていけるよう、頑張ろうと思っていますので、今年もよろしくお願いいたします。

日本SF大賞候補作

以下の6作品が日本SF大賞最終候補作に決定しています。
当方が、投票した作品も複数が入っております。
やはり小説系が強く、非小説は1つと言う結果ですが、小説書きとしてはありがたいと思う一方で、もう少し広がりがあってもいいかな、という感じです。
これから選考会が開かれ、大賞作品が決まるわけですが、どれがとってもおかしくないと思います。

  『うどん キツネつきの』 高山羽根子
  『SFまで10000光年』 水玉 螢之丞
  『月世界小説』 牧野修
  『コロンビア・ゼロ: 新・航空宇宙軍史』 谷甲州
  『定本荒巻義雄メタSF全集』 荒巻義雄
  『突変』 森岡浩之

さて、どうしよう。。。

SF大賞の投票をしなければならない。
小説であれば、直近の受賞者はスルーすると、以下の5作くらい。
『プロジェクトぴあの』山本弘
『突変』森岡浩之
『月世界小説』牧野修
『コロンビア・ゼロ』谷甲州
『シンドローム佐藤哲也
『海色の壜』田丸雅智
山本さんと谷さんはとっくに取っているべき人なので、是非押したい。PrologueWaveからの田丸さんは、若干身びいき感があるけれど、ショートショートでの受賞というのもいいと思う。

評論?でいうと『サンリオSF文庫総解説』が押し。サンリオSF文庫には、個人的に思い入れが深い。ディック(「ヴァリス」三部作!)やル=グイン、ディッシュのようなビッグネームに加え、コニイや、ホールドストック、ステイブルフォードといったどころもすばらしいセレクションだった。一部の作品は他の文庫でも出ているが、もっと再評価が進んでほしい。

イラスト系でも、水玉螢之丞さんの『SFまで10000光年』、生頼範義さんの『生頼範義緑色の宇宙』、YOUCHANさん『ターコイズ』といったところで収穫が多く、悩ましい。故人が二人というのはとても残念だ。

忘れてはいけないのは荒巻義雄さんの『荒巻義雄メタSF全集』。日本のSFに残した足跡を記録したものだ。大賞と言うよりは特別賞がふさわしい気がする。

コミックはあまり定見がないので難しいが、亡くなった水木先生はSF&FのFの方で、非常に大きな影響を残されている。SF大賞の枠組みで評価していいものかという気もするが。

アニメの『放課後のプレアデス』は良質のジュブナイルとして評価されるべきだと思う。SFへの入り口として、良質なジュブナイルはとても大事で、アニメといる障壁の低いメディアで良質なSFジュブナイルが提供されたことを評価したい。

さて。。。。。

SF大賞エントリー結果

http://sfwj.jp/awards/Nihon-SF-Taisho-Award/36/entries.html

僕のカウントで、157エントリー、107作品だった。
今年は、特定の作品にエントリーが集まることもなく、エントリーというシステムに理解が進んできたのかな、と思う。

一方で、毎年のように思うのは、新作のフォローだけでも大変だということだ。その部分を、エントリーシステムという集合知で補っているとも言えなくもない。
ともあれ、積ん読をさっさと読めと言われている気になるエントリー結果である。
ありがたいことに、僕のような会員にも投票権がある。自信を持って権利行使をするためにも、読むべきものは読まないといけないのだが。。。。

第36回日本SF大賞エントリー

今年も、日本SF大賞のエントリーが始まっている。
作家クラブの中だけで決めるのではなく、広くエントリーを募るという方法にしてから3回目になる。すでに、エントリーが当然というような作品も出ているが、追い切れていなかった作品のエントリーも多い。一人ではカバーしきれない作品を、エントリーという形で知ることができるのは、とてもいい方法だと思うのだ。
もちろん、このエントリーの目的は、大賞候補となる作品を絞り込んでいくことだ。しかし、その一方で、今までなら見のがしてしまっていたような作品にも気付くことのできる、得がたい機会であるとともに、日本のSFの歴史の貴重な記録であると思う。

エントリー期間は、10月末までなので、これからどのような作品がエントリーされるのか、楽しみだ。

ところで、3月に完結した「こちら公園管理係シリーズ」も、時期的にはエントリー対象になる。自薦も可なので、自分でエントリーしておくのも、記録に残す意味で、アリだと思うが。。。
以前のエントリーにも書いたように、もともとSFを意識していなかった割には、最終回でSFとして着地していると当人は思っているし、それなりに新しい側面を切り開いているので、資格はあるはずなのだ。
10月末まで悩んでみよう。


http://sfwj.jp/awards/Nihon-SF-Taisho-Award/36/entries.html