スペースシャトルの30年

ワシントンDCのダレス空港に隣接して、スミソニアンの航空宇宙博物館の別館がある。今の時期、開館時間が延長になっているので、UAの直行便でダレスに入ってから、ちょっと寄って見るにはちょうどいい。
GoogleMapの衛星写真で見るとよくわかるのだけれど、ダレス空港の滑走路から、そのまま道路がつながっていて、展示物である航空機が空を飛行してきて、そのまま博物館に収納されたんじゃないかと思わせるような位置関係にある。
実際に別館に行くには、地上での移動は空港を大きく半周するような感じになるので、タクシーを呼ぶのが手っ取り早い。目的はもちろん、つい最近30年にわたる運航を終えたスペースシャトルだ。

ここに展示されているエンタープライズは実際に宇宙に行った機体ではないのだけれど、本物の迫力は十分に伝わってくる。何せ大きい。大きいから、全体をうまくとらえることができない。ここには実物のコンコルドもあるんだけれど、ボリューム感としてはエンタープライズの方が上のような気がする。
ところで、スペースシャトルの運航が始まったときには、宇宙がとっても身近に感じられた。飛行機にも似た「乗り物」で往復できるので、小さなカプセルに乗って落ちてくるのとは全然違う。実際にはオービターだけでは宇宙に行けず、帰りも飛んでくるのではなく滑空という空力的に制御された落下のようなものだから、飛行機のような「乗り物」には程遠いけれど、その「乗り物」めいた外観が宇宙を身近に感じさせてくれた。
残念ながら繰り返し利用によるコスト低減は思ったほどに大きくなく、人が行くという意味ではこの30年で宇宙もさほど身近になっていないような気がする。今のところ宇宙に行って帰って来られる乗り物はまだないし、近々実現しそうにもない。博物館に収まって、いかにも過去になったスペースシャトルを見ると、宇宙の遠さを改めて感じてしまう。



もうひとつの印象的な展示物。展示をめぐって議論がいろいろあったことを思い出す。